「ヨーロッパ視察から感じる日本の調剤薬局との違い」
2009年10月
ヨーロッパ視察に行ってきました。今回は、フランス、ベルギー、オランダ、ルクセンブルクの4ヵ 国を回って、チェーンストアおよび調剤薬局を視察してきました。アメリカ視察とヨーロッパ視察を 交互に実施していて、常に思うことですが、人が生きるということの価値観が、両者で大きく異な ることが、実感として理解できます。
特に、ファーマシーでは、アメリカはウォルグリーンやCVSなどによるチェーンストアが寡占化し ており、効率重視を徹底しているのに対して、ヨーロッパでは法規制により、個人店中心であり、 地域密着のかかりつけ薬局のみの展開です。ファーマシーに対する考え方が、180度異なるの が、とても興味深く感じます。アメリカでもヨーロッパでも、薬剤師の社会的地位は極めて高いの ですが、地域密着している分だけ、ヨーロッパのほうが地域住民からの信頼度は、より高いように 思います。
ヨーロッパのファーマシーは、商店街立地が多いのですが、ブティックやシューズストアなどと並 んで立地している店も多く、ショーウィンドウをきれいに飾っていたり、格調の高い店構えをしてい たりして、専門店としてのイメージを強調しています。1店ずつが個性的であり、それぞれの立地 する地域に溶け込んでいるような印象を受けます。
ヨーロッパでは、可能な限り28錠や30錠といった小包装のままで販売が行われており、日本では 薬剤師が当然のように行っている散剤・軟膏・水剤の混合は原則として禁止されています。これは、 アメリカでもほぼ同様で、海外視察に行く度に、日本の特殊性が不思議でなりません。
小児や嚥下困難患者には、既製品の発泡剤・チュアブル錠・液剤などで対応しています。液剤 の混合も水を加える懸濁液のみ可能です。これにより、調剤ミスがおこりにくく、テクニシャンに よる調剤が可能になっていることも、ヨーロッパとアメリカで共通している点です。
流通構造が大きく異なるヨーロッパとアメリカですが、調剤の形態に関しては、共通して合理的で あり、日本でもこの点の改善ができない限り、薬剤師の業務を効率化できず、患者の待ち時間に対 する不満の解消と、質の高いカウンセリングを実施することは、できないと思います。 調剤薬局の経営について、ご関心のある方は 調剤薬局コンサルタント専門サイト をご覧下さい。