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国内空洞化は必至!ドラッグストアも海外進出を加速せよ

「国内空洞化は必至!ドラッグストアも海外進出を加速せよ」

2009年9月

日経新聞の調査によると、上場企業の2008年度の労働分配率が55.1%となり、過去25年 間で、最高の数値になったということです。経営の合理化により、人件費・労務費も前年対比で、 2.7%減少したのですが、付加価値額は前年対比20.3%と、それを大きく上回るペースで増 加したことにより、労働分配率は、10.0ポイントも増加したとのことです。

労働分配率は、経営指標の中でも、極めて重要な指標であり、55.5%という数値は基準値をか なり上回っており、危機的な状況といってよいでしょう。ちなみに、日経新聞の記事によると、労 働分配率が過去最高だったのは、金融機関の破綻が相次いだ1998年度の53.6%だったとい うことですので、そのときよりも上場企業の経営状況は、悪化しているということです。

このような経営状況の中で、上場企業の雇用余剰感は強まっています。経済財政白書によりますと、 雇用の余剰度を示す企業内失業は、2009年1月から3月で、607万人となり、バブル崩壊後 で最悪だった1999年の359万人を大きく上回る数値となっています。企業の経営状況が上向 かない間は、雇用が回復する可能性はなく、消費の落ち込みはさらに続くことでしょう。このよう な状況の中で、政権交代による雇用政策の変更は、企業の海外への移転を加速し、国内空洞化によ って、消費状況をさらに悪化させる可能性が高いと思われます。

実際に、最近の国内メーカーの動きを見ていますと、国内工場の売却や新規投資の凍結が相次ぎ、 その分だけ、海外での新工場の設立が活発に行われているようです。主要企業が2008年度下期 (10月-2009年3月)に閉鎖を決めた国内工場は100箇所を超え、上期(2008年4-9月)に比べ て4倍に急増しました。一方最近の海外工場の展開では、ドラッグストア関連のメーカーを見ても、 ピジョンが中国に全額出資の生産子会社を設立して、2008年度には72億円だった中国での年 間売上高を2015年度には、200億円まで引き上げる計画を発表するなど、活発な動きです。

さらに、メーカーや小売業の販売面での海外進出も目立つようになりました。最近のニュースでは、 花王がロシアで、紙おむつの販売を開始し、現地の販売代理店を通して、モスクワとサンクトペテ ルブルクの育児専門店350店で販売を開始するという発表がありました。また、セブンイレブン は、中国で北京と上海に続いて、天津での展開を始めました。ドラッグストアでも、セイジョーが ロシアに進出するなどの動きがありますが、今後は、国内の競争だけでなく、海外展開を視野に入 れた動きを加速する必要があると考えます。

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