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米国に学ぶ2010年以降のドラッグストア業界の予測

「米国に学ぶ2010年以降のドラッグストア業界の予測」

2010年1月

新年明けましておめでとうございます。本年もアクティブ・コンサルティングをよろしくお願い いたします。全力でクライアントの皆様方の発展に寄与したいと考えております。

さて、新春早々いきなりですが、日本のドラッグストア業界は、アメリカより40年遅れている?! こんなことを言ったらビックリするでしょうか。しかし、アメリカの流通業の歴史をよく見ると、 あながち間違ってもいないことに気づかれることと思います。なぜならば、ドラッグストアを取り 巻く環境が、40年前のアメリカと同レベルの状況だからです。アメリカでは40年前、すなわち 1970年代には、すでにOTCやビタミン剤などは、店頭に薬剤師がいなくても自由に販売でき るようになっていたからです。もちろん、登録販売者制度などは皆無です。

それでは、その頃のアメリカのドラッグストアは、どのような状況だったかというと、ひとことで 言えば、ナショナルブランドのOTCをはじめ、雑貨などを含めて、他業態と真正面から戦ってい たのです。この頃は、現在のドラッグストアのように調剤比率は高くなく、まだ調剤に特化した形 態とはなっていませんでした。そして、1980年代に入ると、ディープディスカウントドラッグ ストアと呼ばれた、ファーモア、レブコ、スリフティなどの企業が、カテゴリーキラーとして登場 します。これらの企業は、消費者に低価格は受け入れられたのですが、商品構成の偏りや粗利ミッ クスができなかったことなど、オペレーションの失敗により、利益を確保できず、今ではすべて消 滅しています。そして、現在のウォルグリーンとCVSケアマークの2強時代を迎えたわけです。

2008年度の米国主要業態別OTC売上高を見ると、ディスカウントストアが43.5%、ドラ ッグストアが34.9%、スーパーマーケットが21.6%となっています。すでに、ドラッグス トアはOTC販売でトップの座を失っており、3分の1強の構成比しかないことがわかります。そ れでは、シェアを失ったのはOTCだけでしょうか。米国調剤売上ランキングを見ると、より興味 深い事実が判明します。現段階でベスト3はウォルグリーン、CVS、ライトエイドが占めていま すが、第4位にはウォルマートが位置しており、ライトエイドに迫っています。20位までのラン キングのうち、11社はドラッグストア以外の業態が占めているのです。ウォルマートは、調剤の 本丸ともいえるPBM(調剤給付金管理)プログラムの実験を、キャタピラー社との取り組みです でに終えており、本格展開の段階に入っています。今後、さらに躍進すると予測されます。

日本では、登録販売者制度イコール2類までの取扱で他業態が参入という単純な図式を描いている 業界関係者が多いようですが、本当にそうでしょうか。確かに現段階では、確保しやすい登録販売 者の雇用により、2類までのOTC販売で参入していますが、私はこれは第1ステージであると見 ています。ヤマダ電機の池袋総本店や、コストコ三郷倉庫店には、すでに調剤が設置されています。 セブン&アイの新会社セブンヘルスケアは調剤は扱っていませんが、第1号店には薬剤師7名を配 置して、1類OTCを前面に打ち出す売場づくりをしています。

法律や保険制度など、アメリカと日本では医療環境に大きな違いがあるので、一概には言えません が、流通業を専門分野とするコンサルタントの眼から見て、他業態のドラッグ参入がいつまでも2 類OTCまでの第1ステージに留まっているとは考えにくいと思います。結論から言えば、調剤を 取り扱うからドラッグストアが差別化を図れるなどと思っていると、いずれは競争に敗れ去るとい うことです。アメリカでさえ、もはや調剤に特化したから生き残れた時代は終わろうとしています。 それでは、日本のドラッグストアは、今後、どうすればよいのでしょうか。真剣に勝ち残りたいと 考えている経営者の皆様は、ぜひアクティブ・コンサルティングにご相談下さい。

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