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第1類の不振を機会に、陳列・演出の全面見直しが必要!

「第1類の不振を機会に、陳列・演出の全面見直しが必要!」

2009年12月

改正薬事法が施行されて、約1年半が経過しました。日々、ドラッグストアの店頭に足を運び、現 場を通じて、ドラッグストアのチェーンオペレーションをお手伝いしているコンサルタントとして、 総括してみたいと思います。改正薬事法の施行により、ドラッグストアの課題として浮き彫りにな ったのは、次の3点です。1番目は、第1類OTCの売り上げが激減したこと。2番目は、異業態 の参入により、第2類・第3類OTCの販売に少なからず影響を受けたこと。3番目は、雑貨や食 品などの異業態のPBを中心とした価格攻勢により、来店客数が減少したことです。

その中でも、第1類OTCの販売不振が、最大の誤算だったという人がいますが、果たしてそうで しょうか。改正薬事法以前に、ドラッグストアの売場をつぶさに見ていた人であれば、当然の結果 として受け止めているのではないでしょうか。第1類の中で、特に落ち込んだのは、第一三共ヘル ケアの「ガスター10」と「トランシーノ」といわれています。上半期の実績を見ると、「ガスタ ー10」は38%減、「トランシーノ」は67%という大幅な落ち込みです。これらの製品は、改 正薬事法の施行以前は、店頭の目立つ場所に大量陳列されて、とにかく露出度が高かった製品です。 そして、店頭での実態は、大半がマスコミ宣伝を見て、セルフセレクションで購入していたのです。

改正薬事法の施行により、最初は厳しいラインで売場づくりをしたために、店頭から空箱も含めて、 跡形もなく撤去して、バック棚のみに在庫した店では、ほとんど売れなくなって当然です。薬剤師 が一生懸命に声かけした店では、売上はカバーできましたが、それにも限度があります。客数が多 い店では、カウンセリング対応は難しいし、消費者の声を聞いても、いちいち説明を聞きたくない ので、わずらわしい1類を避けて、2類に移行したという人も多いのです。完全に販売側の思惑と 消費者の購買志向の間にミスマッチを起こした結果だと言わざるをえないでしょう。

その中で大正製薬のリアップX5のみは、1類で独り勝ちと言われています。その理由は、ダミー 製品を展示したり、薬剤師が聞くべき質問をビンゴゲームのように穴を押し破るセルフチェックシ ートを準備するなど、店頭販促に注力したからです。店外のノボリなども目立つものが設置されて いたし、テレビ宣伝で新製品のアピールを徹底的に実施したことも功を奏しました。結論から言え ば、マスコミ宣伝と売場づくりが上手に連動できた成果と言えます。ただし、それでも予定通りの 売上にはならなかったそうです。

法律を順守しなければならないことは当然ですが、実際にはドラッグストアに来店する消費者は、 セルフセレクションでの販売を望んでおり、陳列・演出で選択してもらえない限り、購買してもら えないということを覚悟しておく必要があります。1類は空箱などのダミー陳列、2類は実物とダ ミーの複合陳列など、経営面から見ても、在庫を抑えてボリューム感を出す陳列技術を研磨するチ ャンスでもあります。そして、演出ではいかに的を絞った適切な情報発信ができるかが勝負です。 日本全国のドラッグストアの売場を見ていると、陳列・演出技術にかなりの格差があります。商品 選定、棚割からはじめて、これを機会に、陳列・演出手法を全面的に見直してみる必要があるので はないでしょうか。

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