人事評価

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低価格競争時代に適した人事考課制度の導入が急務

「低価格競争時代に適した人事考課制度の導入が急務」

2009年11月

チェーンストアの使命は、消費者の暮らしを豊かにすることです。その使命を果たす大きな要素と して、物価の引下げがあります。デフレスパイラルなどの批判もありますが、徹底的に流通コスト のムダを省いて、低価格を実現することは、チェーンストアとして正しい方向性であると信じてい ます。ただ単に粗利益を削るのではなく、原材料調達から販売までのサプライチェーンのすべてを 見直して、コストパフォーマンスの高い商品を1円でも安く消費者に提供できる企業が勝ち残るの は当然のことです。

サプライチェーンに正面から取り組めば、PB商品の構成比を高めることは正当な帰結であるし、 長期不況で軒並み利益ダウンに陥っている中で、SPA(Speciality Store Retailer of Private Label Apparel)=製造小売業のみが、売上・利益を大きく伸ばしていることは、まぎれもない事実 です。最近、ジーンズやボジョレーヌーボーの低価格競争が話題になりましたが、知恵を絞ってや ろうと思えばできるのであれば、なぜ今までこのような取組みができなかったかというほうが不思 議に思います。まだまだ、価格を引き下げられる商品がたくさんあるはずです。

このような状況の中で、3年連続で売上減少しているホームセンター業界でも、PBへの取組みに やっと真剣になってきました。特に業界をリードするカインズでは、PB比率を現在の30%から 50%に引き上げるとの意向を発表しました。住関連商品は、中小メーカーが多いことから、SPA への取組みがしやすい分野です。イオンや西友も寝具などのPB開発に力を入れており、この分野 の価格競争が激化して、ますます消費者に利益を還元できる状況となっています。

低価格競争に勝つためには、PB開発等により原価を引き下げて、粗利益を確保することと、人件費 等の販管費を低く抑えて、営業利益を確保することが必要です。そのため、人件費の総額をコントロ ールすることは重要ですが、それは一律に人件費を低く抑えることを意味しているわけではありませ ん。同じ総額の中で、いかにメリハリを付けるかが重要なのです。特に、営業の最前線に立つ店長に 良い意味での競争意識を植え付けさせて、頑張った店長には高い給与を与えられるような人事考課制 度を導入することが急務と考えます。

実力主義、成果主義に対しても批判する人がいますが、同一企業の中でも、店長によって業績が大き く左右されるという事実がある以上、能力の高い店長を厚く優遇することは、当然です。低価格競争 の今こそ、真の実力主義の制度を導入することが、適していると思います。個店を強化する売場づく りや部下管理に優れており、高い業績をあげた店長が正当に評価される人事考課制度こそ、公平な評 価システムなのです。実際にこのような人事考課制度に切り替えた企業では、店長のモラールが高ま って、業績アップにつながっています。

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