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「欧米の小売チェーンは日本でなぜ成功しないのか、今後どうなるのか」

2009年5月

欧米の小売チェーンがグローバル戦略の一環として、日本の市場に続々と参入してきましたが、 日本市場で勝ち残ることは至難の業のようです。過去を振り返ると、世界第2位の小売チェーン であるフランスのカルフールの撤退、イギリスでは出店した店舗を地図にプロットすると、その ままイギリスの地図が出来上がると言われるほど有力な化粧品チェーンであったブーツの撤退など、 参入するときは鳴り物入りで大騒動となったのですが、業績は思うように伸ばせず、ごく短期間で 日本市場から去っていったケースが多いのです。

そして、この度、オフィス・デポが、年内中に日本での店舗展開から撤退するという発表があり ました。インターネット通販は残すということですが、事業縮小の痛手を負うことは確かです。 オフィス・デポは、世界48の国や地域で、約1600店を運営するアメリカのオフィス用品を 販売する企業です。日本では、1997年に東京・品川に、1号店を開設して以来、約30店舗 を展開していました。日本に進出した当初は、5年間で年間1000億を目標とすると発表して いました、実際には2008年12月期の売上高は、200億円を下回る程度にしか伸ばすこと ができなかったようです。同じアメリカのオフィス用品の小売チェーンであるオフィスマックスも 当初はイオンと提携していたにもかかわらず、業績不振で2001年に日本から撤退しています。

現在、日本に残っている欧米の企業の代表は、世界ナンバーワンのウォルマート・ストアーズです が、日本で傘下に収めた西友は、2008年12月期決算で、最終赤字が7期連続するという大苦戦 を強いられています。イギリス最大手の小売チェーンのテスコも、2008年度は若干の赤字という 結果に終わり、日本進出が早かったトイザらスも、2009年1月期は赤字となっています。トイザ ラスは、育児用品の拡充を中心にして、巻き返しを図るということですが、少子化が進む日本で実績 が回復するかどうかは、不透明です。

欧米の小売チェーンで比較的、元気が良いのは、スウェーデンの企業で、家具販売チェーンのイケアと アパレルのH&Mでしょうか。イケアは、一度日本に進出して撤退の後、2006年に再進出を果た しています。この2つの企業が成功した要因は、ひとことで言えば低価格戦略です。日本の競合店と 比較しても、明らかに価格が安く、コストパフォーマンスが高いと判断されたために、支持されたと 考えてよいでしょう。もうひとこと付け加えれば、欧米のセンスの良い製品が低価格で購入できると いう点が支持されているのです。ファーストファッションの代表格であるアメリカのフォーエバー21 も日本の消費者の支持を受けて、行列ができるほどの賑わいを見せています。

それに対して、既に撤退したカルフールなどは、本来の業態の強みである圧倒的な安さが、日本では まったく見られなかったのですから、支持されなかったのも当然です。ウォルマートでさえ、西友が 本当の意味での低価格戦略に舵を切ったのは、ごく最近のことであり、それまでは特別な安さを感じ ない、ごく普通のスーパーだったのですから、売上が伸びなかったのも当然です。オフィス・デポの 店舗販売からの撤退も、国内のオフィス用品の通信販売業者との価格競争に敗れたことが原因です。 日本の家賃や人件費の高さが、欧米における事業とは異なるオペレーションを強いられるために、苦心 したことは否めませんが、それを乗り越える日本でのイノベーションがなかったこともまた事実です。

日本においては、眠れる獅子であったウォルマートが、やっと目を覚ました感があります。迎え撃つ イオンやセブン&アイなど、日本の大手小売チェーンも、急速に価格戦略に舵を切っていますし、 ベイシア、トライアル、オーケーなど、日本型のローコストオペレーションを確立して、圧倒的な低価格 で業績を伸ばしている企業がある中で、西友が既存店中心の店舗で、どれだけ戦えるのか。ウォルマート 流の新業態店を新たに展開できるのかどうか、大変興味があります。価格軸だけがすべてではありません が、低価格を強みとする業態を展開するのであれば、圧倒的な低価格でコストパフォーマンスの高さを 提供しなければ、勝ち残ることはできません。戦っている当事者達はそれぞれがベストを尽くしている と考えているはずですが、消費者にとってはまだ不満だらけで、コンサルタントの眼から見ると、改善 の余地が大きいように思います。

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